個人でも気軽にネットショップが開業できるようになった反面、気になるのが特定商取引法に基づく表記の内容です。
記載するにあたり、本名は掲載すべきなのか?住所は?電話番号は必須なの?
そんな疑問や不安を解決しておきましょう。
特定商取引法に基づく表記について
ネットショップを開業する時には「特定商取引法に基づく表記」という内容を、ネットショップ内のどこかのページに設けなければいけません。
掲載する主な内容は下記の通りです。
- 販売業者名
- 運営責任者名
- 郵便番号
- 住所
- 電話番号
- 商品代金以外の料金説明
- 申込有効期限
- 不良品
- 販売数量
- 引き渡し時期
- お支払い方法
- お支払い期限
- 返品期限
- 返品送料
- メールアドレス
など。
個人の場合、気になるのが責任者名だったり住所や電話番号の情報についてです。
法人なら特に問題ありませんが、個人事業主の場合、自宅を事務所代わりにされている人も中にはいらっしゃいます。
自宅の場合は家族などもいますから、掲載するのに抵抗がある方もおられると思います。
特定商取引法ガイド
特定商取引法ガイドというものをご存知でしょうか?
ネットで検索すると出てきますが、特定商取引法についての内容が記されています。
住所や電話番号は表記しないといけないの?
名前や住所、電話番号を掲載するのは必須なのでしょうか。
特定商取引法ガイドのサイトにある「特定商取引法とは」のページ内に用意されている「通販販売」の「広告の表示(法第11条)」を確認してみると、以下のように記されています。
通信販売は、隔地者間の取引なので、消費者にとって広告は唯一の情報です。
そのため、広告の記載が不十分であったり、不明確だったりすると、後日トラブルを生ずることになります。
そのため特定商取引法は、広告に表示する事項を次のように定めています。
- 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
- 代金(対価)の支払い時期、方法
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
- 商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む。)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
- 申込みの有効期限があるときには、その期限
- 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
- 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額。
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
・広告の表示事項を省略できる場合
広告の態様は千差万別であり、広告スペース等もさまざまです。
したがって、これらの事項をすべて表示することは実態にそぐわない面があるので、消費者からの請求によって、これらの事項を記載した書面 (インターネット通信販売においては電子メールでもよい)を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、下の表の通り、広告の表示事項を一部省略することができることになっています。
省略できる表記がある!?
前項を見て頂くとわかるように、省略できるものも存在します。
以下は表として掲載されていたものです。
表を見る限りだと「省略できる」と書いてあります。
経済産業局に電話で確認してみました
法律に関する内容は難しいので、思い切って電話で確認することにしました。
お問い合わせ先は経済産業省のホームページからいくことができます。
住所や電話番号は省略できますか?
質問内容をぶつけてみると丁寧に対応してくれました。
結論からいうと省略できるみたいです。
ただ、話を聞いてみるとどうやら条件があるようでした。
まず、当たり前のことになりますが基本的には掲載しなくてはいけない内容ですから「掲載はして頂いたほうが良い」ということ。
ただ、わかりにくくなってしまったり、載せるスペース等がない場合は、やむを得ず省略できるとのことでした。
例えば、特定商取引法に基づく表記のページに記す時に、書くスペースが限られていたり、掲載することで情報のまとまりがなくなり逆にわかりにくくなってしまうような場合は、省略可能ということになるのではないかと思います。
その判断は自分自身に委ねるという感じでしょうか。
条件とは
ただし、省略する場合にはある条件を満たしていなければなりません。
その条件とは「お客様から問い合わせ等があった場合は、遅滞なく情報を開示する必要がある」という点です。
「遅延なく」とは約1週間くらいを指します。
これらの内容も前述の出典元をご確認頂ければ説明が書かれているかと思います。
屋号などはあまり意味を成さない
個人事業主の場合、たまに屋号等を掲載しているネットショップがあります。
掲載自体は問題ありませんが、経済産業局の方がいうにはあまり意味がないようです。
それよりかは、責任者名は必須になるということでした。
個人事業主だから名前や住所は載せたくない
個人事業主の方でも本名や自宅の住所などを掲載しなくてもよい方法がありました。
それは、商号登記を行うという方法でした。
これなら、屋号と住所(事務所等を借りた場合)を掲載すればOKとのこと。
商号登記の方法は法務局などが関わってくるので、電話では対応外とのことでした。
特定商取引法に関する内容を詳しく知るには?
ここまでお話させて頂いた内容は、経済産業局の方に問い合わせた内容をもとにご紹介させていただいたものです。
また、電話で初めて知ったのですが、広告の表示(法第11条)のページはあくまで概要を示した内容になるとのことでした。
より詳しく知りたい方は、経済産業省のお問い合わせ窓口に直接質問されることをおすすめします。
まとめ
今回はネットショップを開業するにあたり、個人情報にもなりえる「特定商取引法に基づく表記」のお話をさせて頂きました。
事業者の目線でお話しましたが、消費者の立場で考えると、やはりショップ情報は商品を購入する上で気になる内容です。
当方は、ネットショップ制作の行っている会社です。
当クライアント様の中には個人事業主の方も多くいらっしゃいますが、特定商取引法に基づく表記をしっかりと作られている方が殆どです。
信頼を得るためにも、可能な限りの情報を掲載しておくことが理想的です。